「している」の正しい敬語と4つの文法!ビジネスメールの言い換え術
日常の会話やビジネスチャットで毎日のように使う「している」という言葉。身近な表現である一方、ビジネスメールや商談で敬語に直そうとした際、「なさっている」「されていらっしゃる」「いたしております」のどれを使うべきか迷った経験を持つ人は少なくありません。
テレワークやチャットツールによる非対面コミュニケーションが定着した2026年現在、テキストメッセージにおける言葉遣いの正確さは、ビジネスパーソンとしての信頼性に直結します。文法的な意味合い(アスペクト)を正しく理解し、尊敬語・謙譲語を適切に使い分けることで、より簡潔で洗練された日本語のやり取りが可能になります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:相手の動作には「なさっている」「されていらっしゃる」、自身の動作には「いたしております」を用いるのが敬語の鉄則。
- 要点2:文法上は「進行」「結果の状態」「反復・習慣」「経験・属性」という4つの主要な用法(アスペクト)を持つ。
- 要点3:「してある」は意図的な準備・結果を指し、「している」との違いを理解して使い分けることで誤用を防げる。
【敬語の基本】「している」を正しく変換する3つの使い分けルール
「している」は動詞「する」に補助動詞「いる」がついた形です。ビジネスシーンで失礼のないやり取りをするためには、敬語の3分類(尊敬語・謙譲語・丁寧語)に応じて的確に変換する必要があります。
1. 相手を高める「尊敬語」
取引先や上司など、目上の人の動作に対して使います。「する」の尊敬語である「なさる」や「される」に「いる」の尊敬語「いらっしゃる」などを組み合わせます。
・「なさっている」(例:新プロジェクトを担当なさっている)
・「されていらっしゃる」(例:リモートワークをされていらっしゃる)
・「お/ご〜になっている」(例:ご検討になっている)
2. 自身をへりくだる「謙譲語」
自分や自社側の動作を相手に伝える際に使用します。「する」の謙譲語「いたす」や「お/ご〜申し上げる」を用います。
・「いたしております」(例:資料を作成いたしております)
・「ご〜申し上げております」(例:ご案内申し上げております)
3. 表現を丁寧に整える「丁寧語」
同僚や一般的な場面で汎用的に用いる丁寧な表現です。
・「しています」(例:今から確認します/確認しています)
・「しております」(「しています」よりも引き締まった丁寧な印象を与える)
ビジネスメールで役立つ!「している」のスマートな言い換え例文
ビジネスメールで「〜しています」「〜しております」が連続すると、文章全体が稚拙で単調な印象を与えてしまいます。文脈に応じた具体的な動詞へ言い換えることで、文章の解像度と説得力を高められます。
【パターン別・言い換え実例】
・「担当している」 → 「担当いたしております」「承っております」
・「検討している」 → 「前向きに検討を進めております」「社内協議中でございます」
・「確認している」 → 「事実関係を照会中でございます」「拝見いたしました」
・「待っている」 → 「お待ち申し上げております」「ご連絡を心待ちにしております」
特に進捗状況を報告する際は、「作業をしています」と書くよりも「現在、第1フェーズの検証作業を進めております」と具体化する方が、受け手に安心感を与えます。
知っておくべき「している」の文法と4つのアスペクト(用法)
日本語教育や文法論において、「〜している」は単なる現在の動作だけでなく、時間の経過に伴う状態を表す「アスペクト(相)」として4つの異なる用法に分類されます。
① 動作の進行・継続
今まさにその動作が行われている最中であることを示します。
(例文:彼は今、会議室でプレゼンをしている。)
② 動作の結果が残っている状態
過去に行われた動作の影響や結果が、現在も維持されている状態を指します。
(例文:窓が開いている/彼は黒いスーツを着ている)
③ 反復・習慣
長期間にわたって定期的に繰り返されている行動を示します。
(例文:毎朝6時にランニングをしている/毎週月曜日に定例会を開催している)
④ 性質・属性・経験
主体の外見的特徴や職業、過去の経歴などを説明します。
(例文:この川は曲がりくねっている/以前、大手商社に勤務していた)
このように、「している」が付く動詞の性質(瞬間動詞か継続動詞か)によって、進行中を意味するのか結果の状態を意味するのかが変わる点が日本語文法の大きな特徴です。
「している」と「してある」の決定的な違いと使い分け
「〜している」と似た表現に「〜してある」があります。日常会話で混同されやすい組み合わせですが、文法的な意味合いには明確な境界線が存在します。
【違いの核心】
・〜している:単に「その状態が現在成立している」客観的な描写(自動詞・他動詞の双方に接続可能)。
・〜してある:「誰かが意図や目的を持って行った行為の結果が残っている」状態(原則として他動詞に接続)。
例えば、「資料が机の上に置いてある」は、会議の準備など何らかの意図を持って誰かが置いたことを暗示します。一方、「資料が机の上に置いている」という日本語は不自然であり、状態を言うなら「資料が机の上にある」、動作主体を言うなら「彼が机の上に資料を置いている」となります。
NG例から学ぶ!ビジネスでやりがちな「している」の誤用
敬意を払おうとするあまり、文法的に破綻した二重敬語や不自然な敬語を使ってしまうケースが後を絶ちません。
よくあるNGパターン①:「〜されておられます」
「される(尊敬)」+「おられる(謙譲語の『おる』+丁寧)」という構造になり、敬語の方向性がねじれる表現です。目上の人に対しては「なさっていらっしゃいます」または「されていらっしゃいます」とするのが自然です。
よくあるNGパターン②:目上の人への「知っていますか?」
「知る」の尊敬語は「ご存じ」です。「知っていらっしゃいますか」でも通じますが、ビジネスメールでは「ご存じでしょうか」「ご承知おきでしょうか」と表現するのが洗練されたマナーです。
よくあるNGパターン③:「お〜している」
「お持ちしている」のように言うと、謙譲表現「お〜する」の形になり、相手の動作に使うと失礼に当たります。相手の持ち物について述べる際は「お持ちになっている」と言い換える必要があります。
【している】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ビジネスメールの文末は「しています」と「しております」のどちらが適切ですか?
A1:社外の取引先や上司へ送るメールでは、「しております」を使用するのが一般的です。「しています」も文法的に間違いではありませんが、「しております」の方が改まった丁寧なトーンを演出できます。
Q2:「〜なさっている」と「〜されている」はどちらを使うべきですか?
A2:どちらも尊敬語として正しい表現ですが、「なさっている」の方がより高い敬意を含み、フォーマルな印象を与えます。「されている」は受け身表現(受動態)とも同形になるため、文脈によっては誤解を防ぐ目的で「なさっている」を選ぶのが確実です。
Q3:「ご担当しておられます」はなぜ不適切と言われるのですか?
A3:「おられる」の語源である「おる」は自身をへりくだる謙譲語であるため、相手の動作に適用すると失礼に響く恐れがあります。相手を立てる場合は「ご担当なさっています」または「担当されていらっしゃいます」と表現するのが正解です。
まとめ:状況に応じた「している」の使い分けで信頼される表現力を
「している」は私たちが無意識に多用する言葉だからこそ、ビジネスにおける敬語の使い分けや文脈に応じた言い換えの差が如実に表れます。相手と自分の立場を意識し、尊敬語・謙譲語の適切な語彙を選択するだけで、コミュニケーションの品位は劇的に向上します。
日常のチャットやメール作成時に立ち止まり、単調な「しています」を具体的な表現へ置き換える習慣をつけることが、正確で信頼されるビジネススキルの第一歩となります。 (出典: し て いる(Yahoo!ニュース))