シワ知らず!着物の基本「本だたみ」と帯・長襦袢のたたみ方完全手順
お宮参りや結婚式、気軽な街歩きなどで着物を楽しんだ後、多くの人が頭を抱えるのが「脱いだ後の片付け方」です。「どこから折ればいいのか分からない」「適当にたたんだら次に着るときシワだらけになっていた」という経験を持つ方も少なくありません。
着物は直線の布を縫い合わせて作られているため、本来の折り目に沿って正しくたためば、余計なシワを作らず美しく保てます。今回は、基本中の基本である「本だたみ」の手順から、長襦袢や帯、振袖・羽織のたたみ方、そして美しさを長持ちさせる保管の極意まで分かりやすく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:脱いだ直後はすぐにたたまず、2〜3時間の陰干しで湿気と体温を飛ばすのが鉄則。
- 要点2:基本の「本だたみ」は下前→上前→衿→両袖の順に進めれば、誰でもシワなく綺麗に折れる。
- 要点3:保管時はたとう紙に1枚ずつ収め、湿気を嫌う絹のために桐箪笥や調湿剤を活用する。
【脱いだ直後】陰干しとお手入れ!たたむ前にやるべき必須ケア
着物を脱いだら、すぐにたたんでタンスにしまってはいけません。一日中着用した着物には、体温による熱気や汗などの水分がたっぷり残っています。そのまま密閉空間に収めてしまうと、カビや黄ばみ、頑固なシワの原因になります。
まずは和装用ハンガー(着物ハンガー)に掛け、直射日光の当たらない風通しの良い室内で2〜3時間ほど陰干しを行います。帯や長襦袢、帯揚げ、帯締めも同様に干して湿気を逃がしましょう。長時間の干しっぱなしは生地を傷めるため、湿気が抜けたら速やかにたたむのがポイントです。
出先で急いで着替える場合や、自宅で陰干しするまでの間は、一時的に布目を整える「袖だたみ(仮だたみ)」を活用します。身頃を半分に折り、袖を重ねるだけの簡単な方法ですが、床に放置するより圧倒的にシワを防げます。
【図解ステップ】初心者でも失敗しない「本だたみ」の正しい手順
着物の最も格式ある基本のたたみ方が「本だたみ」です。床の上に広げる際は、着物を傷つけないよう衣装敷(いしょうじき)や清潔なシーツを敷いた上で行いましょう。
【ステップ1:裾を右、衿を左にして広げる】
着物の衿を左手側、裾を右手側に向け、シワを伸ばしながら手前に広げます。
【ステップ2:手前の下前(したまえ)を折る】
手前側にある「下前」の脇縫い線(両脇の縫い目)に沿って、身頃を手前にまっすぐ折ります。続いて、下前の「おくみ線」を外側へ手前に折り返します。
【ステップ3:奥の上前(うわまえ)を手前に重ねる】
奥側にある「上前」を持ち上げ、下前のおくみ線に上前のおくみ線をぴったりと重ね合わせます。さらに、上前の脇縫い線を手前へ引いて、下前の脇縫い線ときれいに合わせます。
【ステップ4:衿を内側に倒して整える】
衿元を整えます。下前の衿を内側に入れ込み、上前側の衿をその上に自然に重ね合わせます。
【ステップ5:左袖を手前に折り返す】
左側(上前側)の袖を、身頃の上へパタンと折り返します。
【ステップ6:身頃を丈の半分で折る】
裾を持って、着物の丈の真ん中でふたつ折りにします。このとき、折り目に強いシワがつかないよう、ふんわりと持ち上げるのがコツです。
【ステップ7:右袖を身頃の下側へ折り込む】
最後に、右側(下前側)の袖を身頃の下へ折り返せば、美しい「本だたみ」の完成です。
なお、浴衣と着物のたたみ方の違いについて迷う方も多いですが、基本の流れは全く同じです。ただし浴衣は広衿ではなく「バチ衿」になっていることが多く、衿元の折り込みを省いてそのまま重ねられるため、着物よりも手軽にたためます。
【長襦袢・羽織・振袖】種類別のたたみ方とシワ防止のコツ
着物本体だけでなく、一緒に身につけるアイテムも専用のたたみ方を把握しておくと、次の着付けが格段にスムーズになります。
長襦袢のたたみ方
長襦袢は着物よりも身幅が狭いため、身頃の両脇を内側に三つ折りにしてたたみます。まず背中を下にして広げ、下前と上前を重ねた後、脇を内側へ折り込んで長方形を作ります。最後に裾を半分持ち上げ、両袖を身頃の上に整えて重ねます。衿に「衿芯」を入れたままにすると折れ癖がつくため、必ず衿芯を抜いてからたたむのが鉄則です。
羽織のたたみ方
羽織は前身頃の衿を外側に折り返し、背中心に沿って身頃を重ねる「羽織だたみ」を用います。羽織紐を結んだままにしておくと跡がついてしまうため、取り外すか、優しくほどいて和紙などで保護しておきましょう。
振袖のたたみ方
振袖は袖丈が長いため、通常の着物と同じようにたたむと袖が余ってしまいます。「本だたみ」の手順で身頃を重ねた後、長い袖を身頃の長さに合わせて2回〜3回内側に折り返すようにして収めます。刺繍や金箔が施された豪華な振袖の場合は、模様同士が擦れて傷まないよう、柄の間に薄紙(和紙)を挟むと安心です。
【帯のしまい方】名古屋帯・袋帯の美しい折り方
帯は芯地が入っており、誤った折り方をすると頑固な折り癖がついて元に戻らなくなります。結び目にかかったテンションを優しく手で撫でて伸ばし、シワを取ってからたたみましょう。
袋帯のたたみ方
袋帯は長さが約4m30cm以上あります。表側を下にして広げ、まず全体を二つ折りにします。その後、垂れ先(お太鼓になる側)を外側にして、さらに半分、もう一度半分と合計「四つ折り」または「六つ折り」にたたみます。豪華な金銀糸や刺繍の入った帯は、柄の部分に白当て紙を挟んで保管します。
名古屋帯のたたみ方
名古屋帯はお太鼓部分(広い幅)と胴に巻く部分(半幅)で幅が異なります。半幅部分を半分に折ってからお太鼓部分の中に収めるように重ね、お太鼓部分を二つ折りにします。帯山やお太鼓のメインの柄部分に折り目が当たらないよう、少しずらしてたたむのが美観を保つ秘訣です。
【シワを作らない保管術】たとう紙の包み方と桐箪笥の湿気対策
きれいにたたんだ着物は、保管環境次第で寿命が大きく変わります。着物を守る最善の方法は、通気性と吸湿性に優れた「たとう紙(文庫紙)」に収めることです。
たとう紙の正しい包み方と入れ方
たとう紙を広げたら、着物を中央に真っ直ぐ配置します。1枚のたとう紙に着物と長襦袢を重ねて入れると湿気がこもりやすくなるため、「たとう紙1枚につき着物1枚」を原則としましょう。左右のフラップ、上下の順に折り、付属の紐を結びます。長期間保管する場合、結び目の厚みで着物に跡がつくのを防ぐため、紐は固結びにせず軽く交差させて挟み込む程度にするのが愛好家の知恵です。
桐箪笥と湿気対策
着物の保管には、調湿性と防虫効果に優れた桐箪笥が最適です。クローゼットやプラスチックの収納ケースに保管する場合は、密閉による湿気溜まりを防ぐため、着物専用の乾燥剤や防虫剤を必ず使用してください。防虫剤は生地に直接触れると変色やシミの原因になるため、四隅の隅に置くのが基本です。また、春と秋の空気が乾燥した晴天の日にタンスの引き出しを開けて風を通す「虫干し」を行うと、大切な着物を何十年も美しく保てます。
【着物のたたみ方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:出先で急いでたたむ時の「袖だたみ(仮だたみ)」のやり方は?
A1:着物を広げず立ったままでも行える方法です。着物の背縫いを中心に身頃を半分に合わせ、左右の袖を重ねて身頃の上に折り、最後に身頃を二つ折りにします。持ち運ぶ際の一時的な措置として非常に便利です。
Q2:長期間しまっておく時、防虫剤や乾燥剤はどこに置く?
A2:たとう紙の中や着物の上に直接置いてはいけません。化学反応による変色や金箔の剥がれを防ぐため、引き出しの四隅など、たとう紙の外側の端に配置してください。また、異なる種類の防虫剤を混ぜて使うと薬剤が液化する恐れがあるため、必ず1種類に統一しましょう。
Q3:たたんだ跡やシワがついてしまった場合の対処法は?
A3:軽度のシワなら、お風呂上がりの浴室(蒸気が少し残った状態)に15分ほど吊るし、その後風通しの良い部屋でしっかり乾燥させると取れます。アイロンをかける場合は、必ず当て布(綿100%の白布)を使用し、生地に合わせた温度(絹なら中温以下・スチーム不可)で押し付けずに優しく当ててください。
まとめ:正しい折り目とお手入れで、愛着ある着物を次世代まで美しく
着物のたたみ方は、一見難しそうに見えますが、「直線の折り目に沿って順にたたむ」という基本ルールさえ押さえれば、初心者でも短時間で迷わずきれいに収められます。
脱いだ後の陰干し、丁寧な本だたみ、そしてたとう紙を使った湿気対策。この一連のステップを習慣にするだけで、着物の寿命は格段に伸び、次回の着付けもシワのない最高の状態で迎えられます。日本の伝統が息づく大切な一枚を、正しいお手入れで末永く愛用していきましょう。 (出典: 着物 たたみ 方(Yahoo!ニュース))