クロテッドクリームとは?バターとの違いや買える店・本場の食べ方を解説
アフタヌーンティーの定番スイーツとして親しまれるスコーン。その隣に必ずと言ってよいほど添えられている白いクリームが「クロテッドクリーム」です。名前は耳にしたことがあっても、「生クリームと何が違うのか」「どこで手に入るのか」と疑問を抱いている方は少なくありません。
ホイップクリームのような軽やかさと、バターのような濃厚なコクを併せ持つクロテッドクリームは、ひと口味わうとこれまでのスコーンの印象を劇的に変えてしまうほどの存在感を放ちます。イギリス伝統の基礎知識から、生クリームやバターとの決定的な違い、身近な購入先、さらには本場流の味わい方まで、その奥深い魅力を余すところなく紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:クロテッドクリームは乳脂肪分約60%で、生クリームのミルキーさとバターのコクを両立させた英国発祥の乳製品。
- 要点2:成城石井やカルディ、百貨店のほか、一般的なスーパーでも中沢乳業のカップ入り製品などが手軽に入手可能。
- 要点3:スコーンにたっぷりのジャムと重ねるのが王道で、本場イギリスにはのせる順序をめぐる2大流派が存在する。
【基礎知識】クロテッドクリームとは?独特の味と食感の特徴
クロテッドクリーム(Clotted Cream)は、イギリス南西部のデヴォン州やコーンウォール州で古くから作られてきた伝統的な乳製品です。牛乳をじっくりと弱火で加熱し、表面に浮き上がった脂肪分を集めて冷却するという、手間ひまのかかる製法で作られています。「クロット(clot)」とは英語で「塊」を意味し、その名の通りぽってりとした固まり状の質感が特徴です。
気になるその味わいは、「濃厚なのに後味がすっきりしている」という独特のバランスにあります。原料は基本的に生乳のみで、砂糖や塩は一切加えられていません。そのため、口に含むと牛乳本来の芳醇な甘みとコクが広がり、舌の上で体温によってスーッと溶けていきます。生クリームのように軽すぎず、バターのように油脂感が重たく残らない絶妙な仕上がりは、一度体験するとクセになる美味しさです。
また、本場イギリスの伝統製法で作られたクロテッドクリームの表面には、「クラスト(Crust)」と呼ばれる黄金色の薄い膜が張っています。これは乳脂肪が濃縮されてできたもので、濃厚な風味と豊かな香りが凝縮された「最も美味しい部分」として珍重されています。
【徹底比較】生クリームやバターとの違い|脂肪分と製造方法の秘密
クロテッドクリーム、生クリーム、バターはどれも生乳から作られる乳製品ですが、最大の違いは「乳脂肪分の割合」と「製造工程」にあります。
それぞれの違いを数値と特徴で比較すると、立ち位置が鮮明になります。
- 生クリーム:乳脂肪分おおむね30〜48%程度。生乳から遠心分離で脂肪分を取り出した液体。泡立てると空気を含んでふんわりと軽やかな口当たりになる。
- クロテッドクリーム:乳脂肪分約55〜65%(法定基準は約55%以上)。牛乳を煮詰めるように加熱濃縮して脂肪分を凝縮させたペースト状。
- バター:乳脂肪分80%以上。生クリームを激しく撹拌(チャーニング)して脂肪の粒子を衝突・合体させ、水分を抜き取って固めたもの。
つまり、クロテッドクリームは「生クリーム以上、バター未満」という絶妙な脂肪分濃度に位置づけられます。バターのようにパンに塗っても重すぎず、生クリームのようにスコーンの熱でダレてしまうこともありません。温かいスコーンにのせると、表面がほんのりと緩み、生地の小麦の香りと溶け合って極上のハーモニーを生み出します。
【本場イギリス流】スコーンの美味しい食べ方とアフタヌーンティーの作法
イギリスのアフタヌーンティー文化において、紅茶とスコーン、そしてクロテッドクリームとジャムのセットは「クリームティー(Cream Tea)」と呼ばれ、長年愛され続けています。
本場の美味しさを堪能するには、スコーンの扱い方からこだわることが大切です。スコーンはナイフで真っ二つに切り分けるのではなく、中央の割れ目(オオカミの口と呼ばれる部分)に指をかけ、手で上下ふたつに割るのが英国流のエチケットとされています。
割ったスコーンにクリームとジャムをのせる際、イギリス国内で何十年にもわたり熱い議論が交わされているのが「どちらを先に塗るべきか」という問題です。これには地域の伝統に根ざした2大流派が存在します。
- デヴォン式(Devon Cream Tea):まずクロテッドクリームをたっぷりと塗り、その上にストロベリージャムをトッピングするスタイル。クリームをバターのように下地として扱い、ジャムの酸味をダイレクトに味わえます。
- コーンウォール式(Cornish Cream Tea):先にジャムを塗り広げ、その上にクロテッドクリームをこんもりと乗せるスタイル。温かいスコーンの熱でクリームが溶け出すのを防ぎ、クリーム本来の冷涼感と濃厚さを存分に楽しめます。エリザベス2世女王が生前好んだ食べ方としても有名です。
どちらが正解という決まりはありません。大切なのは、ケチらずに「スコーン生地と同じくらいの厚み」でたっぷりと贅沢に乗せることです。口の中でサクサクのスコーン、甘酸っぱいベリー系ジャム、そしてとろけるクリームが一体となる瞬間こそ、クリームティーの醍醐味です。
【どこで買える?】成城石井やカルディなど身近な販売店と定番メーカー
かつては高級ホテルや一部の英国フェアでしか見かけなかったクロテッドクリームですが、現在は身近な店舗でも手軽に購入できるようになりました。
まずチェックしたいのが、輸入食品やこだわり食材を豊富に扱う成城石井です。成城石井では、日本国内で高いシェアを誇る中沢乳業(NAKAZAWA)の「クロテッドクリーム」が高確率で冷蔵乳製品コーナーに並んでいます。さらに店舗によっては、英国コーンウォール地方の老舗ブランドである「ロダス(Rodda's)」の製品を取り扱っている場合もあります。
また、カルディコーヒーファーム(KALDI)でも入手可能です。カルディでは冷蔵棚のほか、冷凍コーナーにロダスの個別カップが配置されている店舗が多く見られます。冷凍品はストックしやすいため、自宅で焼きたてスコーンを楽しみたい時に重宝します。
そのほか、伊勢丹や三越、阪急といった百貨店のデパ地下に入っているチーズ・乳製品専門店、富澤商店などの製菓材料店、明治屋、紀ノ国屋といった高級スーパーでも安定して販売されています。近隣に店舗がない場合は、Amazonや楽天市場、cottaなどのオンライン通販を利用すれば、クール便ですぐに取り寄せが可能です。
【自宅で簡単】クロテッドクリームの代用品と手作りレシピ
「スコーンを焼いたのにクロテッドクリームを買い忘れた」「近くのスーパーに売っていなかった」という場合でも、身近な材料で近い味わいを再現できます。
手軽に作れる代用ブレンドとして評価が高いのが、次の2つの組み合わせです。
- マスカルポーネチーズ + 生クリーム:ティラミスなどに使われるマスカルポーネは乳脂肪分が高く、酸味がほぼありません。マスカルポーネと生クリーム(または水切りヨーグルト少々)を7対3程度の比率で混ぜ合わせると、クロテッドクリーム特有のぽってりとした質感とミルク感が再現できます。
- 水切りヨーグルト + 無塩バター:一晩しっかり水切りしたプレーンヨーグルトに、室温で柔らかくした無塩バターを練り合わせます。さっぱり感の中にバターのコクが加わり、スコーンによく合います。
さらに時間があるなら、生クリームを使った本格的な手作りに挑戦するのも一案です。ポイントは、乳化剤や安定剤が入っていない「動物性乳脂肪分45%以上」の純生クリームを使用することです。
耐熱容器に生クリームを2〜3cmの深さになるよう注ぎ、100〜110℃に予熱したオーブンでじっくり数時間加熱します。表面に黄色い膜が張り、全体が濃縮されたら粗熱を取り、冷蔵庫で一晩しっかり冷やします。翌日、底に溜まった液体(バターミルク)を捨て、上部に固まった濃厚なクリーム層だけをすくい取れば、自家製クロテッドクリームの完成です。
【賞味期限と保存方法】使い切れない時の正しい保存術と冷凍のコツ
クロテッドクリームを購入する際に最も注意すべき点が、「賞味期限の短さ」です。
保存料を使用していない純粋な乳製品であるため、未開封状態でも賞味期限は比較的短めに設定されています。さらに一度開封してしまうと空気に触れて風味が劣化しやすく、カビも生えやすいため、開封後は冷蔵保存で2〜3日以内に使い切るのが鉄則です。清潔なスプーンを使用し、容器のフチを綺麗に保つことが長持ちの秘訣となります。
どうしても数日中に使い切れない場合は、「小分け冷凍」を活用しましょう。ラップの上に1回分(スプーン1〜2杯程度)ずつ乗せて包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫で保管します。約2〜3週間ほど保存が可能です。
解凍する際は、電子レンジを使わず、前日に冷蔵庫へ移して自然解凍します。急激な温度変化を加えると油分が分離してボソボソになってしまうため注意してください。なお、一度冷凍するとクラストの滑らかな舌触りは多少損なわれるため、解凍後はスコーンに塗るだけでなく、パンケーキのトッピングや温かいスープ、パスタの仕上げに溶かし込むなど、加熱料理に活用するのも賢い方法です。
【クロテッドクリームとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:甘みはついていますか?生クリームのように砂糖を混ぜて使うべきですか?
A1:市販のクロテッドクリームには砂糖や甘味料は入っていません。牛乳本来のピュアな甘みとコクを味わうものなので、砂糖を混ぜずにそのままスコーンに塗るのが基本です。甘みは一緒にトッピングするジャムで補うのが本場のスタイルです。
Q2:植物性のホイップクリームからクロテッドクリームは作れますか?
A2:植物性脂肪のホイップでは作ることができません。クロテッドクリーム特有の質感と風味は、牛乳に含まれる純粋な乳脂肪が熱によって濃縮されることで生まれます。手作りや代用を試みる際は、必ず「生乳」「クリーム」と記載された動物性の高脂肪純生クリームを選んでください。
Q3:ロダスのクリームの表面にある黄色い膜は食べても害はありませんか?
A3:全く問題ありません。むしろそれこそが「クラスト」と呼ばれるクロテッドクリームの一番美味しい部分です。英国の伝統的な直火蒸気加熱製法で作られた証であり、豊かなコクと香りが詰まっています。取り除かずにクリーム全体と一緒にお召し上がりください。
Q4:スコーン以外にどのような使い道がありますか?
A4:トーストや焼きたてのワッフルにジャムや蜂蜜と一緒にのせたり、温かいホットケーキにトッピングしたりするのがおすすめです。また、ビーフシチューやカレーの仕上げにひとかけ落とすと、生クリームやバター以上にマイルドで深みのあるリッチな味わいに仕上がります。
まとめ:スコーンを最高に引き立てる至高のクリームを楽しもう
クロテッドクリームは、生クリームのような繊細なミルクの風味と、バターのような奥深い濃厚さをあわせ持った、英国の伝統が育んだ唯一無二の乳製品です。
紅茶とスコーンが揃ったら、成城石井やカルディなどで手に入るクロテッドクリームと、お気に入りのジャムをたっぷりと用意してみてください。手で割ったスコーンの上に惜しみなくのせて頬張れば、自宅のティータイムが一瞬にして本場イギリスのアフタヌーンティーへと生まれ変わるはずです。 (出典: クロテッド クリーム と は(Yahoo!ニュース))