彼らの英語はtheyだけじゃない?their・them使い分けの真相
学校の英語の授業で「they=彼らは」「their=彼らの」「them=彼らを・彼らに」と呪文のように暗記したものの、実際の英会話や海外メディアのニュースに触れた際、使い分けに一瞬戸惑った経験を持つ人は少なくありません。主格・所有格・目的格という文法上の役割を頭では理解していても、会話のスピードの中で瞬時に正しい形を引き出すには、それぞれの語が持つ文構造上の位置づけを身体感覚として身につけておく必要があります。
2026年現在の英語圏では、従来の複数形としての用法にとどまらず、性別を特定しない単数形の「singular they(単数のthey)」が公的文書からビジネス、日常会話に至るまで完全に標準表現として定着しました。基本となる格変化のルールを盤石にしつつ、時代とともに進化するネイティブの最新運用ルールまで押さえることが、自然な英語コミュニケーションへの最短ルートです。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:文中の配置(主語・名詞の前・動詞の後ろ)で「they・their・them・theirs」は完全に区別できる。
- 要点2:性別不問やノンバイナリーを指す「単数形のthey」は、現代英語における必須の基礎教養。
- 要点3:日常会話の短縮表現「'em」や口語フレーズを理解することで、リスニング力と表現の幅が飛躍的に向上する。
【基本のキ】they・their・them・theirsの決定的な違いと使い分け
三人称複数の代名詞を迷わず使い分けるための最大の鍵は、日本語の訳語だけに頼るのではなく、「その単語が文の中のどのポジションに置かれているか」に着目することです。英語は語順の言語であり、文構造によって選ぶべき代名詞の「格」が厳密に決まります。
基本となる4つの形とそれぞれの役割は次の通りです。
- 主格「they」(彼らは/彼らが):文の主語(動作主)になる位置に置きます。
例文:They arrived at the office early this morning.(彼らは今朝早くオフィスに到着した) - 所有格「their」(彼らの):必ず後ろに名詞を伴い、「誰の所有物・所属か」を修飾します。単独では使えません。
例文:I really respect their creative approach.(私は彼らのクリエイティブなアプローチを心から尊敬している) - 目的格「them」(彼らを/彼らに):動詞の目的語、または前置詞(to, with, for, aboutなど)の後ろに置きます。
例文:We invited them to our product launch party.(私たちは彼らを新製品発表会に招待した)
例文:I received an email from them.(私は彼らからメールを受け取った) - 所有代名詞「theirs」(彼らのもの):「their + 名詞」を1語にまとめた形です。主語にも目的語にもなれ、名詞を繰り返すのを防ぎます。
例文:That car is not ours; it is theirs.(あの車は私たちのもの travelではなく、彼らのものだ)
所有格「their」と目的格「them」で混乱したときは、「直後に名詞があるかどうか」を確認するのがもっともシンプルな見分け方です。後ろに名詞が続いていれば「their project」のように所有格になり、動詞や前置詞の直後で名詞が続かなければ「help them」「listen to them」のように目的格を選びます。
【一覧表で丸暗記】英語の人称代名詞と三人称複数の覚え方
英語学習の初期に登場する人称代名詞ですが、複数形の全体像を整理して把握しておくと、会話中の処理スピードが格段に上がります。「主格・所有格・目的格・所有代名詞・再帰代名詞」の5つの変化をまとめた一覧表で、関係性を再確認しておきましょう。
| 分類 | 主格(〜は) | 所有格(〜の) | 目的格(〜を/に) | 所有代名詞(〜のもの) | 再帰代名詞(〜自身) |
|---|---|---|---|---|---|
| 三人称複数(彼ら/彼女ら/それら) | they | their | them | theirs | themselves |
| 三人称単数(男性) | he | his | him | his | himself |
| 三人称単数(女性) | she | her | her | hers | herself |
| 一人称複数(私たち) | we | our | us | ours | ourselves |
効率的な覚え方のコツは、「ゼイ・ゼア・ゼム・ゼアーズ(they - their - them - theirs)」と声に出してリズムで覚えることです。視覚的な文字情報だけでなく、音のつながりとして口に馴染ませておくことで、実際のリスニングやスピーキングの現場で迷わず口から出てくるようになります。
「彼らのもの」はどう表す?theirsの使い方と実践例文
日常会話やビジネスの現場で意外とミスが起きやすいのが、所有代名詞である「theirs」の扱いです。theirsは「their + 名詞」をコンパクトに言い換える強力な表現ですが、アポストロフィをつけて「their's」と書いてしまうスペルミスがネイティブの間でさえ散見されます。人称代名詞の所有代名詞にはアポストロフィを一切つけないのが鉄則です。
実際の会話でスムーズに使いこなすための典型的な例文を見てみましょう。
- This idea is entirely theirs.
(このアイデアは完全に彼らのものだ)
※「their idea」の重複を避けるためにtheirsを使用。 - Our team finished the report yesterday, but theirs is still pending.
(私たちのチームは昨日レポートを仕上げたが、彼らのチームのものはまだ保留中だ)
※文頭の主語として機能している例。 - Are these jackets yours or theirs?
(これらのジャケットはあなたたちのものですか、それとも彼らのものですか?)
このように、直前にすでに話題に上がっている名詞(アイデア、レポート、ジャケットなど)を二度繰り返さず、スマートに会話を前進させる際にtheirsが極めて有効に機能します。
【2026年の新常識】単数形のthey(singular they)とジェンダーニュートラルな使い方
現代英語を使いこなす上で絶対に避けて通れないのが、「単数形のthey(singular they)」の運用です。かつて学校教育では「they=複数形」と教えられてきましたが、現在の英語圏では、性別が不明な個人や、男性・女性という従来の性自認に当てはまらないノンバイナリーの人々を指す代名詞として、単数のtheyが公的標準となっています。
単数のtheyが用いられる場面は、主に以下の2パターンです。
1. 性別が不明または不問の「誰か」を指す場合
話者や聞き手にとって相手の性別が分からないとき、かつては「he or she」「his or her」と表記されていましたが、現代では「they / their / them」を使うのが圧倒的に自然です。
- If a customer calls, please ask them for their name.
(もしお客様から電話があったら、その方のお名前を聞いてください) - Someone left their umbrella in the meeting room.
(誰かが会議室に傘を忘れていきました)
2. ノンバイナリーの個人を指す場合(ジェンダーニュートラル)
個人のアイデンティティとして「they / them」を自らの代名詞(pronouns)に指定している人に対しては、単数であってもheやsheではなくtheyを使用します。ビジネスメールの署名欄やSNSのプロフィールに「Alex Rivera (they/them)」と明記されているケースがこれに当たります。
- Alex is our lead designer. They are presenting the new design concept today.
(アレックスは私たちのリードデザイナーです。彼(その人)は本日、新しいデザインコンセプトを発表します)
ここで重要な文法上の注意点があります。指している対象が「単数の1人」であっても、受ける動詞は「are」「were」「have」などの複数形と同じ形を使うという点です。「They is」とはならず、「They are」と活用するのが標準英語の確固たる文法ルールです。
ネイティブがリアルに使う「彼ら」のカジュアル英語・スラング表現
映画や海外ドラマ、現地のストリートカルチャーやSNSでは、文法通りの「they / their / them」だけでなく、より口語的でくだけた表現が頻繁に飛び交います。こうしたリアルな表現を知っておくと、英語のリスニング解像度が劇的に上がります。
1. themの短縮形「'em」(エム)
ネイティブの日常会話で最も耳にするのが、themの最初の「th」が脱落した「'em」です。発音は「アム」や「エム」に近くなります。
- Get 'em!(やっつけろ! / 捕まえろ!)
- Tell 'em I'll be there soon.(彼らに、すぐ行くと伝えておいて)
- I bought 'em yesterday.(それら、昨日買ったんだよね)
2. 「彼ら」を指す口語フレーズ(those guys / folks / peeps)
単に「they」と言う代わりに、親しみや特定のニュアンスを込めてグループを呼ぶスラング・口語表現も多彩です。
- Those guys:「あいつら」「彼ら」(男女混合グループに対しても使われるカジュアル表現)
- Folks:「人々」「あの方々」(カジュアルながら温かみがあり、ビジネスの打ち解けた場でも好まれる)
- Peeps:「仲間たち」「友人たち」(peopleの略から派生した若者言葉・スラング)
- Dem:AAVE(アフリカ系アメリカ人英語)やヒップホップカルチャー、一部のネットミームで「them」の代わりとして使われるスラング表記。
フォーマルなビジネスレターでは標準的な「they / their / them」を使い、カジュアルな雑談やチャットでは「those guys」や「'em」を使い分けることで、人間味のある自然なコミュニケーションが実現します。
【彼らの英語】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:theirとthemを見分けるもっとも簡単なコツは?
A1:直後に「名詞」がくっついているかどうかを見るのが一番確実です。「their car」「their idea」のように名詞を修飾していれば所有格のtheir、動詞や前置詞の後ろで「help them」「talk to them」のように単独で置かれていれば目的格のthemになります。
Q2:単数形のtheyを使うとき、動詞は「is」ですか?それとも「are」ですか?
A2:指している対象が1人であっても、文法上は必ず「are」「were」を使います。「You」が単数(あなた1人)でも「You are」となるのと全く同じ仕組みです。ただし再帰代名詞については、単数を強調して「themself」が使われるケースが近年増えています。
Q3:物や動物に対しても「they」「their」「them」は使えますか?
A3:もちろん使えます。they/their/themは人間に限定されず、複数の物や動物(cars, dogs, documentsなど)を指す代名詞としても全く同じように機能します。
Q4:themselfという単語は辞書に載っている正しい英語ですか?
A4:オックスフォードやMerriam-Websterなどの主要英語辞典に正式に収録されています。特に単数のtheyに対応する再帰代名詞として「themselves」の代わりに「themself」を用いる表現は、現代英語の口語やメディアにおいて急速に浸透しています。
まとめ:文法ルールと時代の変化を押さえて自然な英語を話そう
「彼らの英語」は、主格のthey、所有格のtheir、目的格のthem、所有代名詞のtheirsという基本の4つの型を、文構造上の位置関係から正しく理解することがすべての土台となります。それぞれの単語が文の中で果たす役割を把握していれば、スピーキングやライティングで語順に迷うことはありません。
さらに現代のグローバル社会では、ジェンダーニュートラルな単数形のtheyの浸透に見られるように、言葉が多様性や時代の要請に合わせてアップデートされています。昔ながらの固定観念にとらわれず、基本の文法力と最新の言語トレンドの両輪を身につけて、自信を持って生きた英語を使いこなしていきましょう。 (出典: 彼ら の 英語(Yahoo!ニュース))